歯石とりはなぜ必要?

こんにちは、千歳烏山の歯医者、しんやデンタルクリニック千歳烏山です。
本日は“歯石とり”がなぜ必要なのかを解説していきます。
歯石とプラークの違い
プラークとは歯の表面に付着する細菌の塊でバイオフィルムと言ったりもします。食べかすや細菌、唾液の成分からつくられます。性質はやわらかく、白っぽい。歯磨きで簡単に除去することができます。プラークを放置してしまうと、虫歯や歯周病の原因になります。
では、歯石とはよく聞くけれど、どんなものが歯石なのかご存知でしょうか。
歯石とは唾液中のカルシウムなどと反応して石灰化したものを歯石と定義しています。
歯石の性質は硬くてザラザラしています。歯磨きでは取ることができず、歯科医院で専用器具による除去が必要です。
歯石には種類がある?
歯石には主に 2種類あることをご存じでしたか?
これらは「どこにできるか」によって分類されますし、見た目も全く違いますので解説していきたいと思います。
縁上歯石(えんじょうしせき)
歯ぐきの上にできる歯石
歯と歯ぐきの境目の、歯ぐきより上の部分にできます。
主に下の前歯の裏や上の奥歯の外側にできます。見た目は白色〜黄白色で、ご自身で鏡を見ることですぐに発見することができます。
硬さは比較的やわらかめで、歯科医院で専用の器具を使用することで簡単に除去できます。
歯ぐきの上にできてしまう歯石の原因は唾液中のカルシウムやリンとプラークが反応して石灰化されることで歯石になります。
縁下歯石(えんかしせき)
歯ぐきの下にできる歯石(歯周ポケット内)
歯と歯ぐきの間のポケット(歯周ポケット)の内部にできる歯石を縁下歯石と言います。
色は黒色~褐色で、縁上歯石に比べると非常に硬く頑固です。縁下歯石ができてしまう原因は歯周ポケット内で、血液や炎症液、細菌を含んだプラークが石灰化することにより発生します。
縁上歯石に比べて縁下歯石はご自身の目で見て発見することが難しく、自覚症状もあまりありません。
縁上歯石を放置するとどうなるの?
縁上歯石を放置すると、口の中にさまざまな悪影響を及ぼしてしまいます。
1. 歯ぐきが腫れる・出血する
縁上歯石は細菌のかたまりです。歯ぐきとの境目に付着していると、炎症が起きやすくなり、ブラッシング時に出血したり、歯ぐきが赤く腫れたりします。
2. 歯周病に進行する
歯肉炎が進むと、歯と歯ぐきの間の「歯周ポケット」が深くなり、そこにさらに歯石や細菌がたまります。歯を支える骨が少しずつ溶けていき、進行すると歯がグラグラになり、最悪の場合は歯が抜けてしまうこともあります。
3. 口臭が強くなる
歯石は細菌の温床で、腐敗したような臭いの元になります。特に放置された歯石が増えると、慢性的な口臭(生理的口臭ではない)の原因となります。
4. 虫歯のリスクが上がる
歯石の周囲は常にプラーク(歯垢)がたまりやすい状態です。プラークには虫歯菌が多く含まれており、放置すると虫歯になりやすくなります。
5. 見た目が悪くなる
縁上歯石は黄白色〜茶色で、前歯の裏や奥歯に目立つことがあります。歯磨きをしても落ちず、清潔感に欠けた印象になることもあります。
縁下歯石を放置するとどうなるの?
1. 歯周病の重症化(歯周炎〜歯槽膿漏)
縁下歯石は細菌のかたまりで、強い炎症を引き起こします。歯周ポケットが深くなり、歯を支える歯槽骨*が破壊されてしまいます。最終的には歯がグラグラする → 噛めなくなる → 抜歯という流れになってしまいます。
2. 慢性的な膿・口臭
炎症がひどくなると、歯ぐきから膿が出て、強烈な口臭となってしまいます。いくら歯を磨いても、口臭は治りません。
3. 歯ぐきが下がる(歯肉退縮)
歯周病により歯ぐきが下がり、歯が長く見えるようになります。見た目の問題だけでなく、知覚過敏にもつながります。
4. 全身疾患への影響
縁下歯石に含まれる細菌や毒素が、血流にのって全身へ影響を与えることがあります。関連が指摘されている病気には心筋梗塞・脳梗塞・糖尿病の悪化・誤嚥性肺炎 などがあります。
ここまで2種類の歯石について説明してきました。
この2種類の歯石は除去の仕方も違うので解説していきたいと思います。
縁上歯石の除去の仕方
1. スケーリング(歯石除去)
歯科医院で行う基本的な処置です。超音波スケーラーを使用して振動と水で歯石を粉砕して除去する方法と手用スケーラーで細かい部分を手作業で除去していく方法があります。
所用時間は約20分〜30分ですが、歯石が多い場合は複数回に分けて処置することもあります。
痛みは軽度の歯石の場合はほぼ無痛ですが、歯石が多かったり、歯ぐきが腫れてしまっている場合はしみたりチクチク感じることもありますが我慢できる程度です。
縁下歯石の除去の仕方
縁下歯石の除去は、歯科医院での専門的な治療が必須です。歯ぐきの下(歯周ポケット内)に隠れていて、自宅では絶対に取れません。
1. スケーリング
歯ぐきの中にある縁下歯石を超音波スケーラーや手用スケーラーで除去していきます。炎症が強い部位では、麻酔を使用することもあります。
2. ルートプレーニング
スケーリング後、歯の根の表面を滑らかに整える処置です。これにより、再び歯石が付きにくくなり、歯周ポケットの治癒が促進されます。
費用は保険診療で行います。
軽度の場合は痛みは少ないですが、中等度〜重度の場合は炎症が強くチクチクしたりしみることがあります。
縁上歯石と縁下歯石を作らないための7つの習慣
① 毎日の正しい歯磨き
プラークが2〜3日放置されると、唾液中のカルシウムと結びつき歯石に変化してしまいます。歯と歯ぐきの境目を意識して磨き、1本ずつ丁寧に磨いていきましょう。
② 歯間清掃(フロス・歯間ブラシ)
歯ブラシだけでは約6割の歯垢しか取れません。フロスや歯間ブラシを使用することで、歯と歯の間のプラークも除去できるため、歯石の付着の予防になります。
③ フッ素入り歯磨き粉の使用
フッ素は歯を強くし、歯垢の酸による脱灰(虫歯の始まり)を抑える作用があります。また再石灰化を促すことで、細菌の繁殖環境を抑える効果もあります。
④ だらだら食べ・甘い物の摂取を控える
飲食の度に口の中が酸性になり、細菌が活性化してしまいます。甘いものや間食が多いと、プラークが溜まりやすく、歯石の原因になってしまいます。
⑤ 定期的な歯科検診・クリーニング
たとえ毎日丁寧に磨いていても、歯ブラシだけでは完全に歯垢をゼロにすることはできません。3ヶ月〜6ヶ月ごとの歯科クリーニングで、歯石をプロが除去し、磨き残しのチェックをし自分の磨き方の癖を把握していくことがとても大切です。
⑤ 唾液を減らさない(口の中を乾燥させない)
唾液には自浄作用(細菌を洗い流す力)があるため、唾液が少ない場合は歯石が付着しやすくなります。唾液が少ない場合は、口呼吸を避けることや水をよく飲む、よく噛むなど唾液の分泌を促すことを意識しましょう。
⑥ 生活習慣の見直し(喫煙・ストレスなど)
喫煙者は歯周病が進行しやすく、縁下歯石もできやすい傾向があります。不規則な生活、睡眠不足やストレスも免疫低下を招き、歯ぐきの炎症を悪化させます。
⑦ 食後のうがいも効果的
食後すぐに歯磨きができない場合は、水やマウスウォッシュでうがいをするだけでもプラークの付着を抑えられます。
まとめ

歯石取りは、歯の健康だけでなく全身の健康を守るためにも非常に重要です。
歯石を放置すると、ただの「見た目の問題」では済まず、歯周病・口臭・歯の喪失・全身疾患のリスクにまでつながります。3ヶ月〜6ヶ月を目安に定期的に歯科医院を受診して、歯石除去しましょう。
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