歯周病の急性症状と対処法

   

しんやデンタルクリニック千歳烏山

こんにちは、千歳烏山の歯医者、しんやデンタルクリニック千歳烏山です。

歯周病は慢性的なものだと思いがちですが、歯周病には急性発作を引き起こすものも存在します。 その主な違いは炎症の進行の速さ。 一般的には歯周病はゆっくり進むことが多いですが、急性発作は突然起こり、日頃歯に問題がなく生活していても実は歯周病が進行していたということも少なくありません。

本日は歯周病の急性症状と対処法についてのお話しです。

  • 歯周病とは?
  • 歯周病の慢性炎症と急性炎症
  • 歯周病の急性炎症の症状

 

1 歯周病とは?

歯周病は、プラーク中の歯周病原細菌によって引き起こされる感染性炎症疾患で、歯の周りの歯ぐきに炎症が起こり、さらに進行すると歯を支えている骨が溶けてしまう病気です。
当院のブログで詳しく解説しておりますのでそちらもご覧ください。

⇒歯周病について

 

2 歯周病の慢性炎症と急性炎症

歯周病の慢性炎症の場合、歯磨きをした時に歯ぐきから出血してしまう歯肉炎から始まり、口臭がするようになり、徐々に歯周病が進行することで、歯周炎となり歯を支えている歯槽骨にまで影響を与えます。最悪の場合は歯が抜け落ちてしまうこともあります。
このように徐々に進行していく慢性的な歯周病に対して、時に今まで静かにしていた菌が活発化し急に痛みが出る急性発作を起こすことがあります。
これを「急性歯周炎」、「急性歯周膿瘍」、「歯冠周囲炎」と呼ぶこともあります。

 

3 歯周病の急性炎症の症状

ではそれぞれどのような症状があり、何が原因で急性症状が起きてしまうのか、それぞれ解説していきます。

急性歯周炎

急性歯周炎は、歯周組織(歯を支える組織)に急激な炎症が発生します。
これにより短期間で痛みや腫れ、その他の症状が現れることが特徴です。

主な原因

細菌感染:歯周ポケット内の細菌が増殖することで急性炎症を引き起こしてしまいます。
免疫力の低下:疲労やストレス、全身疾患により体の抵抗力が弱まってしまうと炎症が起きてしまうことがあります。
外傷:歯や歯ぐきへの物理的なダメージ(歯石取りや硬い食べ物による傷など)

症状

強い歯ぐきの痛み

歯ぐきの赤みや腫れ

歯ぐきからの出血

噛むと痛い、または歯が浮いた感じがする

膿が出る

口臭がする

顎のリンパ節の腫れや発熱

治療方法

・抗生物質の処方:抗生物質で歯周病は治りませんが、一時的な炎症を抑えるために使用します
・ブラッシング指導:急性症状の場合、歯ブラシを当てることも痛いことがあるため、その時に応じたブラッシング指導を行います。
・汚れの除去:歯石やプラークを除去し、炎症を引き起こしている原因を取り除きます。
・消毒
・かみ合わせの調整:かみ合わせを調整することで負担を軽減します。

予防方法

セルフケア:正しい歯磨き習慣を身につける
定期検診:定期的に歯科検診を受け、歯周病の原因となる歯石除去やプラークの除去を行いクリニーングをする
免疫力の維持:免疫力を維持するために、バランスの取れた食事、適度な運動、睡眠時間の確保を心がける。

歯周病は静かな病気と言われており、痛みに強い人であれば痛みも感じない ため急性症状が出てしまう頃には歯周病が重症化してしまっていることも少なくありません。
これは大人の方だけでなく、中高生の方でも該当します。
磨き方が不十分のために歯肉炎になってしまっているが、気づかないうちに進行し、噛むだけでも痛いといった急性発作になってしまうことも多いです。

 

急性歯周膿瘍

急性歯周膿瘍とは、歯周組織(歯を支える歯肉や歯槽骨)に膿が急激に溜まり、炎症を引き起こすことです。
これは歯周ポケット内で細菌が感染を引き起こし、その結果膿が歯周組織に蓄積してしまうことで炎症を引き起こします。

主な原因

歯周病の悪化:慢性歯周病(特に深かい歯周ポケット)が原因で細菌感染が進行してしまう。
免疫力の低下:ストレスによる免疫機能の低下が原因で感染を引き起こしてしまう

主な症状

強い痛み:歯茎の痛みが急激に現れ、触れるとさらに痛む
腫れ:歯肉が赤く腫れ、場合によっては顔や顎にまで腫れが広がることがある
膿の排出:膿が歯茎から自然に排出されることがある。口臭につながる
歯の動揺:感染により歯を支える骨が影響を受けると、歯がぐらついてしまう
発熱、リンパ節の腫れ:感染が広がると、全身症状として現ることもある

治療方法

排膿:膿を外に排出する(歯茎を切開する場合がある)
感染部位の清掃:歯周ポケット内の汚れや歯石を徹底的に除去します。
抗生物質の処方:抗生物質で歯周病は治りませんが、細菌感染を抑えるために抗生物質を使用します。
外科的治療:重症の場合、歯周組織を修復するための外科手術や、場合によっては抜歯が必要になることがあります。

予防方法

日常的なセルフケア:正しい歯磨きとデンタルフロスの使用で歯周ポケットを清潔に保つ
定期的な歯科検診:歯周病や歯石の早期発見、定期的なクリーニング
免疫力の維持:バランスの取れた生活習慣を心がける

急性歯周炎の時も予防方法として免疫力の維持をすることが大事だと伝えさせていただきましたが、疲労が蓄積されるとセルフケアも怠りがちになります。
その後歯が浮いたような感じがあったり、歯茎から出血したりし、歯茎がしみることもあります。
口腔内の環境を守るためにも十分な睡眠時間を確保し、食生活を見直し、免疫力の維持を心がけましょう。

 

歯冠歯周囲炎

主に親知らずのような萌出途中の歯の周囲に起こる炎症を指します。
特に、下顎の親知らずが部分的に歯茎に埋まった状態で発生することが多く、歯茎やその周辺組織に痛みや腫れをともないます。
親知らずだけでなく小学校高学年から中学生で萌出される第二大臼歯、6歳頃に萌出される6歳臼歯が萌出される際にも炎症が起きることがあります。

主な原因

親知らずなどの不完全な萌出:萌出しようとしている歯が部分的に歯茎に覆われている場合、歯茎と歯の間に隙間ができ、食べ物のカスや細菌が溜まってしまいます。
細菌感染:歯冠周囲に蓄積した汚れが感染を引き起こし、炎症を悪化させます。
物理的刺激:硬い食べ物や歯ブラシが原因で歯茎を傷つけ、感染や炎症を誘発することがあります。

主な症状

歯ぐきの腫れと痛み:歯冠周囲の歯ぐきが赤く腫れ、押すと痛む
噛むと痛い:腫れた歯ぐきが上の歯とあたり、痛みを引き起こす。
膿の排出:歯ぐきから膿が出ることがあり、口臭の原因となる
開口障害:炎症が広がることで顎の筋肉が硬直し、口が開きにくくなることがある。
発熱やリンパ節の腫れ:感染が広範囲に及ぶと発熱する場合がある。

治療方法

初期治療
感染部位の洗浄:消毒薬を用いて、歯ぐきと歯の間の汚れを除去する
鎮痛剤、抗生物質の投与:腫れを抑えます

進行した場合
切開排膿:炎症が強く膿が溜まっている場合は、歯ぐきを切開して膿を排出します
親知らずの抜歯:炎症が繰り返される場合、根本的な解決のため親知らずの抜歯を推奨させていただく場合があります。

予防

親知らずの抜歯を検討:問題の原因となる親知らずをあらかじめ抜歯することで、炎症のリスクを減らします。
口腔内の清潔を保つ:親知らず周辺、歯の萌出期には磨きやすい歯ブラシなどを利用し、口腔内を清潔に保つ
定期的な検診:萌出途中の親知らずやその周囲を経過観察をし、問題があればすぐに対処する。

 

4まとめ

歯周病は症状もほとんどなかったり、症状があっても気づかない場合もあるため知らない間にどんどん進行してしまう病気です。
症状に気づき始めた頃には重症化してしまい、外科的処置が必要になってくる場合もあります。
歯周病は早期発見、早期治療が大切です。
定期的に歯科医院を受診し、些細なことでもいいので歯周病専門医に相談してみましょう。

 



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